#こんにちはテント (3) |
※「こんにちはテント (3)」は、構成の都合上、最初の部分が「コウホ地 (9)」と重複しています。 |
- おばさんが2人畑のはしで休んでいた。
- 亀谷というところ。
- テントをはるところを探してます、と言ったら、ここにはりなしゃい、と言った。
- 去年までは畑をやっていたらしい。
- こっそり似顔絵をかいていたら突き飛ばされた。だから全然似てない。
- 枯れ草を集めて、寝所を作ってくれた。
- ふかふかしてめちゃくちゃ快適だ。
- テントに1センチくらいの穴があいていた。昨夜イノシシにあけられたらしい。色々な動物がテントのまわりをウロウロしていた気がする。
- 今日は一日中テントをはる場所を探していた。本当にはりたい場所を見つけること、それはやはり難しい。もう日が暮れる。
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テントに1センチくらいの穴があいていた。昨夜イノシシにあけられたらしい。 |
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丸 井: |
こんにちは、テント君!! で始まっていいのかな? こんにちはテント君!! あれ? こんにちはテント君?? |
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小 川: |
こんにちは。フカフカして気持ちいいでしょ? |
丸 井: |
おばさんのプレゼントの草のベットだね。ハイジみたいだ!! といっても、見た目はそう見えないけど‥‥。 |
小 川: |
草のにおいが、あたらしいゴザみたいだ。あと、この上に、コエだめがあるけど、におわないな。 |
丸 井: |
新しいゴザのにおいというのは確かに心地良い。畳の部屋に引っ越す人の手伝いをした時、そのにおいをうらやましく思ったりするもの。でも、そのにおいって、どのくらいで消えてしまうものなんだろ? |
小 川: |
3ヶ月くらいかな。ここだと、ずっと一年中、このにおいなのでは。川の音に虫の音、ねむくなってきますな。 |
丸 井: |
それに蛍の光も‥‥なんて出来事があったせいで眼が覚めちゃったんじゃない?? |
小 川: |
そうだね。今、かなり興奮してしまった。でも、本当に蛍みたいだったなぁ。 |
丸 井: |
車が通ると蛍が蛍っぽくないゾ! |
小 川: |
まぁそうだね。 |
丸 井: |
そういえば、昨夜は、この今蛍に早変わりした風船を、いのししにど突かれるということはなかったの? |
小 川: |
どうだったかな。イノシシは、テントと土のすきまを掘ったりしていたようだった。ぼくは、実は、イノシシは動物の中で、猫の次くらいに好感をもっている。 |
丸 井: |
猫の次とはまたどーして? 猫と猪ってあんまり連関が見いだせないんだけど‥‥といいつつ、別に連関なく好きになったっていーじゃん!とも思っている丸井でした。というか、筆談してると、こういう聞き方になってしまうような気が‥‥。 |
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- テントのわきで、ボーとする。やっとのんびりした気持ちになれた。川をはさんで、むかいの人がこっちを見ている。おじぎをする。むかいの人もおじぎをする。こんにちは、と言うと笑っていた。年を取った人たちのおじぎは深い。アリが、腹の上を登ってくる。蚊にさされる。
- 9月に入ると急に寒くなってきた。
- 小学生が歩いていく。とすると今8時くらいだろうか。
- 上の畑にいたおばさんが、お昼にテントへ来てくれると言った。楽しみだ。
- 隣の家のおばさんは「もう秋だ」と言った。
- 町役場へ遊びに行った。町役場では、ソーメンを食べさせてくれた澤さんが働いている。みなに配ってくれるよう、チラシを渡した。独身女性を中心にくばってくれるそうで、楽しみだ。
- だれか遊びにこないかなぁ。ヒマなので目の前にある木を描く。
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矢吹さん (自画像) |
子供の頃、寺跡でキャンプしたら、 やはり女の幽霊が夜通ったそうだ。 |
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アートスフィア灰塚でイロイロ協力してくれる役場の横山クン。 |
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となりの家の小竹さんが スケッチを見てくれた。 10年前には、本当に蛍が いっぱいいたらしい。 |
こんなおじさんが「こんにちは〜」 と笑いながら自転車で通った。 |
アートスフィア灰塚の 李さんと井上さん |
- 休んでいたので似顔絵をかかせてもらった。よく笑う人で、その笑顔がとても良かった。「暑いと働かんのじゃ」と言って笑った。ヘンリーミラーによく似ていた。
- 明日また9時か10時に来る、お金を持ってくるから、と言って自転車で行ってしまった。絵を買うつもりらしかった。絵は、もちろん、ただで送るつもりだ。でも、いくらで買うのか、少し気になる。
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- 朝、テントの中でぼんやりしていると、「おはようございまーす」と言って自転車に乗った女子中学生が通った。
- 昨日のおじさん(若くみえる71歳)が、絵を買いにきた。自転車で来た。後で送りますからと言っても、せっかく描いてもらったけん買う、と言う。また送りますと言うと、いやいいわ、と言いつつ財布をとりだした。テントの方へ上がってくるのかと思ったら、戻ってきて、自転車のヘルメットの中に入れといたけん、と言った。それは、ぼくの自転車ではなかった。おじさんは去っていった。ヘルメットの中には千円札が一枚入っていた。
- もしかするとおじさんは、似顔絵を他の人に見られるのが恥ずかしい(いやだ)という気持ちもあったのかもしれない、と思った。
- 昨晩「こんにちは」してくれたヤブキさん(昼に来た人とは別人)によると、ここの集落は仲が良いそうだ。居心地のいいのはそのせいかもしれない。テントを張るのを断るとき、その人は近所の目を気にしている事が多い。ということは、単純にいうと、仲の悪い集落なのかもしれない。
- 小竹さんからトウモロコシをもらった。
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