2000年5月29日(月) 翼よ、あれが.....
夫: 翼よ、あれが.....
今回のベトナム旅行、その過程を旅行記として WEB 上でまとめようと決めてから、どうも我々の脳裏には、NOTE TO TONE 制作者リンドバーグの著書名を捩って使った「翼よ、あれがホーチミン・シティの..... 」というあの興奮の科白が強烈に焼きついて離れない。
翼よ 翼よ、今、我々を乗せた KE726(KOREAN AIR)左翼の補助翼が跳ね上がり、離陸態勢に入った。妻よ、今回のこの旅行記、この初日分に関しては、共同制作をする上での確認も踏まえて筆談形式にしたらどうかと思うのだが、どうだろう? 今、飛行機はやけに急な角度で飛び立った。
赤潮? 翼よ、これが恐怖の大韓航空というやつなのか? しかし、機体は無事、上昇気流に乗ったようだ。眼下には大阪湾がひろがる。その表面にクリストのアースワークのようなピンク色の膜みたいなものが浮いているのが見える。あれはなんだ? 赤潮か??
妻: 松尾伴内氏 夫よ、今、眼下には淡路島が見えてきた。これから、この飛行機は日本海上空を飛び、ソウルへ向かう。2人での2度目の海外も東南アジア。ベトナムはタイとはまた大きく異なることだろう。
機内食が出てきた。関空ではマクドのハンバーガーが170円と高かったので、さんざん食べるか否か迷った挙げ句、やはりお腹が空いては困るからと食べておいたのに‥‥。機内食のお蕎麦を食べていたら、同じ列の向こうに松尾伴内氏が座っているのを発見。夫よ、私はこの驚きを一生忘れられないだろう。
夫: 確かにマクドで食べたのは失敗だった。もうお腹一杯だよ。これじゃせっかく持ってきた動物占いチップ、食べられそうにないや。
う〜ん、それにしても伴内さんが気になるなぁ。ついついそっちを見てしまうよ。何となく同行のカメラマンさん、こっちを警戒してないか?(^^;)
ところで、ここらで少し、我らの今回の旅の出で立ちを確認しておこう。→【
妻: あなたが描いた絵はまるで似てないね。この絵だとあなたは治ちゃんみたいだ。天候にも恵まれ、眼下には朝鮮半島が見えるよ。
韓国 美しい朝の国。今回は帰りにソウルで1泊だけだけれども、またいつかゆっくり行こう。って、あなたは韓国に来てもワクワクしないんだっけ。もう金浦空港に着くよ。金浦では3箇所に電話をしなければ。空港内で電話カード、売ってるかな。
通路側に座っているので、夫が座る窓側に体を伸ばして眼下の韓国の地形を見る。韓国らしい山と住宅が見える。すると、不意に夫がキスをしてきた。韓国上空での機内キス。私は頭がクラクラする。翼よ、これが新婚旅行というもの?
夫: 松尾伴内氏 新婚旅行ノリというのは、我々をミーハーにさせるのだろうか?
着陸時のガクンという揺れを確認後、我々に与えられた次の課題は、松尾伴内氏と如何にして一緒に写真を撮るかということだった。そこで我々は伴内氏のあとをピタッとつける形で、彼が一人になる機会を伺う。と、その瞬間は案外早くやってきたのだった。乗り継ぎの荷物検査後、同行のカメラマンが伴内氏を置いてどこかへ行ってしまったのだ。
松尾伴内氏 私は、女性から声をかけられた方が本人も嬉しかろうという咄嗟の判断から、妻に「プライベートのとこ、スミマセンが‥‥」という具合に声を掛けてもらうよう頼んだ。すると伴内氏は割と気安く(というか、素っ気なく?)我々の要望に応じてくれた。交互に1枚ずつパチリ。お礼を言って別れる。しばらくすると僕らが乗ってきた KE726 をバックに撮影中の伴内氏に出くわし、あれまぁ、こっちのロケーションの方が断然よかったなぁ。それにしても、僕ら以外、誰一人として彼に近づこうとする人はいないし、関心も持っていないようだ。ミーハーなのは、我らだけ?(^^;)
その後、妻はみひゃんゆみちゃんに電話をするべく、売店でテレカを買って電話をしようとするのだが、どの電話もテレカを入れるとすぐに吐き出してしまう。仕方なくテレカを買った売店に戻り、店員に事情を説明。もちろん言葉はハングル! 僕には何を話していたのか、まるでわからなかったけど、とりあえず二人とも楽しげだった。
妻: 電話カードは、きっと磁気が反応しなかったのだと思う。
売店の女の子にカードを入れても出て来るのー、どの電話機でもやってみたよー、きっとカードがイケナイんだと思うのー、と訴えたら、新しいのと交換してくれる。はじめは困ったような顔をしていたけど、換えてくれるところが韓国。「またダメだったら、どうしたらいい?」と聞くと、「まー、やってみて」と言われた。
電話中 今度はちゃんとカードを受け付けてくれた。友達にベトナムから帰ったら電話するからーと伝える。電話が終わっても、フライトまでにはまだまだ時間がある。さっきの売店の女の子にありがとうを言っておこうということで、また売店に行く。「ちゃんとできました。ありがとう。」。
夫は韓国ではモテる顔らしい。前回のタイ旅行でも帰りにソウルに寄ったのだけれど、そのときも夫は街中で韓国女性の視線を浴び、航空券の受け取りに行った旅行会社でも「ボーイフレンドですか? カッコいいですねー」と言われた。そして、今もさっきの売店でもお礼を言うのは私なのに、最後に彼女が視線をチラッと向ける先は夫であった。
夫は「韓国でなら芸能人になれるかもー」と上機嫌。
夫: いや、確かにそうなのだ。さきほども軽く空港内の DUTY FREE をぶらぶらしただけなのに、コリアンギャルの視線は確実に感じられた。ま、自意識過剰になってるところもあるかもしれないけどね。でも、去年よりも髪がだいぶ伸び、ちょっとばかしキムタク風情というか平瀬クンっぽくなっているので、その実感は強まったような気がするなぁ。
妻: 金浦空港の夕陽 夫も韓国では調子がいいらしい。という私もここでは調子がいい。気持ちが韓国気質に近づくというか、肝が据わってくるというか.....。これは長く住んでいたタイでは感じることのなかったこと。しかし、勿論、韓国女性の本当の強さには近づけないだろうな。
そんな韓国もあと少しで離れ、本来の目的地、ホーチミンに向かう。日が暮れてきた。日本よりも日が少しだけ長い。午後7時ちょっと過ぎ。
夫: いよいよベトナムへ向けて飛び立つ KE681 に搭乗。ところが、自分たちのシートに着こうとすると、すでに我々の荷物棚が使われている。すこし当惑していると、座席後方の人たちが「あっちが空いてるよー」って感じで空いてる棚の方を指し示してくれる。妻は「ベトナム人ってひょっとして親切?」なーんて言って、気分はすっかりベトナムモードのようだ。一方の僕は、いまだに昭彦クン「翼よ、.....」のくだりが頭から抜けず、しかし、そろそろ頭をベトナムモードにシフトチェンジしなければならない頃なので、これから入国時のことなど含め、ガイドブックでも読んでベトナムの予習に入ろう。
ところで離陸時、隣の座席に座っていた韓国人カップルが、えらい険しい表情を浮かべながら、堅く手を握り合っていた。やっぱり大韓航空って危ないんだろうか? それを見て、ひとまず僕らも手を握っておくことに。けど、座席で手をつなぐと露骨にわかってしまう。2人の腕の長さの違い(笑)
妻: ベトナムの入国はほかの国に較べて面倒くさそう。入国準備をしておこうとガイドブックを眺めながらヘッドフォンで韓国ポップスを聞く。でも、機内誌に書いてある曲順と少し違うみたい。帰りに1泊する韓国でのCD選びの助けになると思っているのに。夫よ、韓国にも立ち寄ることができてとても嬉しいよ。1度で2カ国味わえる。ストップオーバーの良さはそれ。そろそろ食事の時間。初めて夫と一緒の機内食
夫: ちょっと早いけど、時計の時刻をベトナム時間に合わせる。これで少しはベトナムモードに入れるかな? ところで、この飛行機の乗客は大半がベトナム人か韓国人。日本人はあまり乗っていないようだ。しかし、スチュワーデスは簡単に僕らのことを日本人だと見分けてしまうようだ。僕らのとこでは日本語で「ビーフにしますか? サカナにしますか?」と聞いてきた。そこで、僕が「ビーフとサカナ、どんな料理ですか?」と日本語で問い返す。するとちょっと困った様子。どうやら、このスチュワーデス(韓国人)は、乗客に肉か魚かを選択させる決まり文句の日本語以外はわからないようだ。そこで、同じ質問を英語で繰り返すと、またまた困った様子。しかし、今度は言葉が通じないのではなく、単にこのスチュワーデスさんは出される料理が何かを知らないということがわかった。ビーフ何となく赤ワインが飲みたかったので、僕はメニューもわからぬまま、ビーフを注文。妻もビーフを頼んでいたが、理由はわからん。ビーフは韓国料理でもベトナム料理でもないハンバーグで、でも、味はまあまあだった。食後、出入国カード等に必要事項を書き込んで、しばしヘッドホンでコリアンポップを聴く。妻の大好きなキム・ゴンモが流れ、思わず2人、目を合わせる。僕も聴いててヨカッタ♪ そのあとは知らない曲が続くので、僕は持参した昭彦クンアベちゃんの旅行記初日分のコピーに目を通しながら、ウトウトしていた。
妻: ホーチミンのタンソンニャット空港には23:20頃に到着。入国審査でも税関でも何ひとつ問題はなかった。空港は天井の低い、色のない建物。ここは社会主義の国なんだなと思う。出口を出ると、人だかりがしている。この時間だと銀行も閉まっている。するとガイドブックにもあったようにエアポートタクシーの運転手が声を掛けてきた。安宿街のファングーラオ通り辺りに行きたいと告げると、深夜だから10$だなどと言う。相場は6-7$だと聞いていたけれども、そう言うと8$位になってしまうかもしれないと思い、5$と言ってみる。暫くやりとりした後、7$になり、10$で払い、そのおつりはドンで3万ドンくれることになった。
サイゴンピンクホテルホテルも紹介してくれるという。1泊20$。高いと思ったけれど、部屋を見るだけ見てみようということにした。着いたのはサイゴン・ピンク・ホテル。設備はいいし、深夜だったので高いけれど取り敢えずそこに決めた。タクシーの彼に運賃を払うと2万ドンだけ出し、1万ドン札がないんだもん、なんて言い出す。すかさず、ホテルで両替してもらえばいいじゃんと言うと、初めは1万ドン札がないと言っていたホテルの人も渋々両替してくれて私達は無事に3万ドンのおつりを手に入れた。それだってドルとのレートは合っていないよね。
その夜、夫は機内食にあたったのか、ひどい下痢になり熱まで出た。とても苦しそうだったけれど、何もできない。早く良くなるようにと思うだけ。

PREV.HOME.NEXT