2000年5月30日(火) 私はサイゴンのキムタクです。
夫: ホーチミン最初の朝はひどい下痢とその下痢による発熱のなかで幕を開けた。というか、夜中に何度もトイレに立っていたので、寝ているんだか起きているんだかもよくわからなかった。私は体温を計るのが大好きな質なので、せっかくの高熱なのにーと体温計を持ってこなかったことを後悔。それにしても私は相変わらず機内食との相性が悪いようだ。これでフライト後に調子悪くなったの、何度目だろうか?
朝になっても下痢は治まらず、熱も下がらずという状態ではあったが、今のホテル(SAIGON PINK)が高いのと、市中心部に出るには若干不便なのとで、ひとまずチェックアウトして、他のホテルを探すことにする。
グエンタイホック通り チェックアウトは10時半くらい。ホテルの場所が安宿街のファングーラオ通りからだいぶ南東のグエンタイホック通り沿いに位置していたため、まずはファングーラオ通り目指して歩く。日差しは思ったほどは強くない。途中、予想通り、シクロドライバーたちが声をかけてくる。なかに「Do you know JO?」という声が聞こえ、見るとサッカーの城のユニフォームを着ていて、何だか我々が日本人であることが嬉しいようだ。僕が「Do you know NAKATA and NANAMI?」と訊ねると「Of Course」と即答された。
そんなシクロたちとやり取りをしながら、我々の大好きな東南アジア果物(グエンタイホック通りは半市場状態になってるようだった)を尻目にブイヴィエン通りに入ると、すぐさまゲストハウスの客引きがやってきた。部屋の写真を見せたり、Cheap だ!Cheap だ!と捲し立てるので、値段を訊ねると8$だという。こちらは僕の体調が芳しくないこともあって、とにかくすぐ冷たい水の飲める冷蔵庫のある部屋が望ましかったので、妻にそのことを聞いてもらうと冷蔵庫(refrigerator)がうまく通じない。そこで、僕が空に四角を描きながら「Cold Box」と言うと、「Oh! OK!! No problem!!!」と一発で納得してもらえた。しかし、最初に案内されたGH(ゲストハウスのこと、以下GH)では肝心の冷蔵庫のついてる部屋が満室。でも、続いて案内された並びのGH(Thanh Guest House)は冷蔵庫もあって8$ということで、そのままチェックインすることにしたのであった。
妻: GHの女の子はなかなかの美人でかわいい。ベトナムでは「!」という美人も、かっこいい人も見ていなかったので、その点でもこのGHは当たりかもしれない。みなさん親切。
しばらく休憩した後、お昼ごはんを食べに行く。夫がガイドブックにお昼にだけ出る食べ物通りがあることを見つけ、行ってみる。その食べ物通り(ボーバンタン通り)は時間が過ぎてしまったのか、開いているお店があまりない。夫のお腹はまだ回復していないし、少しでも腰を落ち着けられるところを見つけたかった。
ボーバンタン通り その通りの、ある路地(市場みたいになったところ)を入ったところに小さな食べ物屋さん(NGOC TU)があったので、そこに決める。Bun cha gio(揚げ春巻き入り春雨)とペプシ。体調のすぐれない夫も食べられるもので良かった。思えばこれがベトナムでの初の食事。ここの女の子もまた可愛い。味も美味しい。食べ終わり、勘定も済ませると「また来てね」と言ってくれる。外国人が来そうにもないところだからだろうか。味も良かったし、お店の人たちも親切だったし、また絶対に来ようと思う。
それにしても夫の顔はここベトナムでは韓国のようにモテる顔ではないのだろうか。街をいくら歩いても視線を感じないらしい。
夫: NGOC TU NGOC TU はその味もさることながら、サービスが抜群。サービスとは、価格、量(おかわりまでしてくれる)はもちろんの話だが、何よりも彼女たちの可愛い笑顔が僕らを元気にさせてくれること。これこそが本当のサービスというものだ。また来たいと思うお店。というか、きっとファンティエットから戻ったら、また行く。そのときは一緒に写真も撮らせてもらうんだ!
ところで、この時点まで我々はまだ一度も両替をしてなかったため、ベトナムドンは3万ドン(昨日のタクシーのお釣りの)しか持ち合わせていなかった。だから、お勘定のとき、最初、合計金額 fourteen を forty と聞き間違えてしまって、ゴメーン、あとの足りない分はドルで払うから許して〜って気持ちになってたけど、すぐに僕が聞き間違ってることを指摘してくれ、笑顔で送り出してくれたのだった。本当にいい店だったぁ。
ジャックフルーツ まあ、しかし、旅行2日目の午後になってもベトナムドンを16000ドン(130円くらい)しか持ってないというのも何なので、ファングーラオ通りの方へ戻る形で銀行へ。1万円分両替する。財布はパンパン(^^;) そして、水とGH前の路地で売ってたジャックフルーツ、パイナップル、ココナツ・ジュースを買ってそのままホテルへ。何しろまだ体調は万全とはとてもじゃないけど言えない状態なのである。すまなかったね、妻よ。
部屋で買ってきた果物を食べながら、しばし体を休めているとポツポツと雨が降り始め、あっという間にドシャ降り。ま、そりゃ雨季だもんなぁ。雨がやんでから出掛けようということにして2人でベッドで寝転んでいると、そのうち2人とも完全に寝入ってしまい、目覚めたときにはもうすでに19:30 を過ぎていた(でも、雨はまだポツポツと降っていた)。ホテルで傘を借り、クチトンネルとメコンデルタの観光ツアーを予約するため、まずはシンカフェへ行く。
行く途中もまた、シクロが覚束ない日本語で話しかけてきたのだが、このシクロには笑わせてもらった。シクロの座席のあたりに日本語で様々なことが書かれており、中でもとりわけ目を惹いたのが、太字で堂々と書かれた私はサイゴンのキムタクですである。私は思わず、日本で文壇のキムタクと自ら名乗る人物のことを思い出し、吹き出しそうになってしまったが、このサイゴンのキムタクは文壇のキムタク以上にスマップのキムタクには似ていない。それにしても、このサイゴンのキムタク、どうも本気のようで、どこで手に入れたのか、スマップのキムタクの写真(セピアカラー)をおもむろに取り出し、似てるだろ!とポーズを取ったりもする。浮世絵のTシャツなど着ていて、かなりの日本びいきのようであった。
シンカフェでツアーの予約を済ませた後、シンカフェ前のデタム通り周辺でベトナム料理のイケそうなレストランを探すが、どこもファラン向けカフェレストランのようなところばかりで、いまひとつパッとしたのが見当たらない。そこで、いったんGHへ戻り、GHで美味しいレストランを教えてもらうことにする。そして行ったのが、2月3日通りの「Banh xeo A phu」。歩いて行ける距離ではないのでタクシーで行った方がいいと薦められたが、たまたま声を掛けてきたシクロがホテルで教わったタクシーの相場よりも安い値段で言ってきたので、シクロで行くことにする。その頃には雨もあがり、180度に広がる視界のもとで風を受けながら走るシクロがとても心地よい。A phuそのシクロのお兄さんも「Banh xeo A phu」はオススメだと言っていて、実際、頼んだバインセオはこれまでの人生のなかで食べたバインセオの中でも最高の味だった。というか、日本のベトナム料理屋ではさほどバインセオを美味しいと思ったことがなかったので、そのパリパリとした触感には新しい食べ物に出会ったような気さえするものがあった。ただ、生春巻きの方は驚くような味ではなかったな(正直言うと京都の333の方が美味しい)。一皿10本も出てきたのにはずいぶん驚かされたけど‥‥。妻は空芯菜の料理が気に入ったようだ。しかし、いずれにしても3皿は頼みすぎだったようで、だいぶ残してしまった。これがタイだと一皿の分量が2/3人前なんでペロリなんだけどね。
妻: 生春巻きが10コもある!!とは、メニューを見たときから知ってはいたものの、ほかの料理も一皿の量が多いので、食べきれない。勿体ない!と思ってしまう。生春巻きも大変美味しい。しかし、3、4本も食べると、その食感が重いように思えて、軽いインディカ米を食べるのに切り替えた。大量の空芯菜に食も不思議とすすむ。タイにも同じ空芯菜の炒め物があるが、それと同じ味。う〜ん、おいしい。それでも生春巻きが残ったので、私達の食事を待っていてくれたシクロのお兄さんを呼んで食べてもらう。
ランブータン 帰り道ではシクロのお兄さんとお話。彼は26歳で、2歳になる子供がいるという。奥さんは21歳。途中、ランブータンを買いたいという私達に彼は日本人だと高く売りつけるからと代わりに買ってきてくれた。8000ドン。もしかすると本当はそれより安いのかもしれない。けれど、降りるときにはチップも入れて運賃+ランブータン代を払った。
ランブータンはおいしい! 早く、マムアン(マンゴ)もトゥリアン(ドリアン)もノーイナー(カスタードアップル)も食べたい.....。

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